2018年を迎えて

明けましておめでとうございます。

2017年は特に大きな変化はありませんでしたが、いくつかの小さく、確かなステップを前へ進むことのできた1年かもしれません。9月にコンテンポラリー作品を精力的に演奏することで知られる、アルバニー交響楽団のチェロセクションに入団し、デュオ夢乃では4月に、全米桜祭りにフィーチャーされ、ジョンFケネディーセンターでリサイタルを開催いたしました。

昨年1年を振り返ると、アメリカでも日本でも、人びとが政治的・社会的に分断されていた状況が、さらに悪化の一途をたどったように思います。そんな中、私は2月に聴くことのできたジョルディ・サヴァール氏率いる、エスペリオンXXIのコンサートで勇気づけられ、残りの1年をポジティブに乗り切ることができたように感じられます。このベネチア共和国の音楽を特集した公演では、西洋音楽、中東音楽の演奏家や歌手が30-40人ほど出演し、ベネチアの様々な文化的背景を踏まえつつ、豊かな音楽が花開いた歴史がスリリングにひもとかれました。

アンコールでは出演者一同により、ベートヴェン交響曲5番のフィナーレが高らかに演奏され、拍手の鳴りやまぬ中、観客に向かいサヴァール氏は「私は世界市民です」と語りかけました。このとき、観客の多くは1月下旬にアメリカで発令されたばかりのイスラム教7か国の入国禁止令が頭をよぎったはずです。サヴァール氏は、「今日のステージにはイラク人、シリア人のほか、多くの国からの演奏家が並んでいます。今は私たちにとって辛い時代です。しかし、emotion(感情)、memory(記憶)、sensitivity(繊細さ)を失くしてはいけません。私たちはもっと繊細であるべきです。」と続け、満場の喝采を浴びました。

昨年を通じ、私は何度もこの言葉を思い出し、この三つの要素は素晴らしい音楽には不可欠であると確信しました。そしてこれはそのまま私たちの生き方にも関わる大切なことであると教えられ、感動を新たにしました。あまりにも自明のことで忘れられがちなことかもしれませんが、2018年もこの三つの言葉を胸に音楽を奏で、世界を少しでもより良い場所にすることができれば、と願う新年です。

皆様もemotion、memory、sensitivityに彩られた素敵な1年を過ごすことができますように。

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