2017年の近況

2017年の世界情勢は、もう既に目まぐるしく変化していますが、何はともあれ、今年に入ってからの私の近況をお伝えします。

1月8日に木村伶香能の三味線リサイタルにて、佐藤容子さんの「Not a Single Cloud Exists」を弾きました。木村は三味線コンチェルトを2曲も演奏するなど、自身の限界に挑戦した感がありました。そういった緊張感、演奏家の誠実さの伝わるコンサートに参加することができ、誇らしく思います。

同じ月には、ナショナルオペラセンター・アメリカ主催による、新作オペラの発表会があり、エリック・オクスナーさん指揮のもと、SONOS室内管弦楽団の一員として参加させていただきました。抜粋ではありましたが、5つの新しい作品が発表され、オペラの世界の活力に触れた思いでした。チェロセクションのメンバーとの交流も楽しかった!

デュオ夢乃としては、1月22日にコネチカット州フェアフィールドの日本協会の新年会で演奏をいたしました。一昨年に続き、2度目の出演でしたが、メンバーの皆様の歓迎を受け、和やかで心温まる会となりました。

Photo: Marco Borggreve

カーネギーホールにて聴いたジャン=ギアン・ケラス(チェロ)とアレクサンダー・メルニコフ(ピアノ)のリサイタルが素晴らしかったです。ベートーベンのチェロソナタ第3番やショパンのチェロソナタなどを演奏しましたが、チェロの音色の多彩さに圧倒されました。表現の幅の拡がりという点においては、現役チェリストでも、随一ではないかと思います。演奏家はもっと果敢に冒険をしなければならない、と勇気づけられる思いでした。

『沈黙』マーティン・スコセッシ監督

長すぎるといった不満もなくはないものの、俳優たちの素晴らしさ、丹念に構築されたイメージと音響、そして深い思索に満ちた内容に感銘を受けました。ハリウッドの監督が日本を舞台にした映画を撮ると、気負いすぎたり(『ラストサムライ』)、日本人から見るとシュールになったりしますが(『47RONIN』)、スコセッシは趣味がいいというか、かつての日本映画へのリスペクトをはらいつつ、自身のテーマを追求していて、好感を持ちました。

感謝祭2016!

今日はアメリカの感謝祭連休、最後の日でした。木曜日からずっとお休みで、家族で集まったり、ショッピングなどでにぎわう週末でした。

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しばらく前になりますが、ニューヨーク仏教会にて10月16日にデュオ夢乃リサイタルを開催し、無事に終えることができました。コンサートにお越し下さった皆様、ありがとうございました!

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コネチカット州にてデュオで演奏する機会も幾つかあり、紅葉の美しい季節とも重なって、印象に残りました。10月18日にグリニッジ歴史協会、11月7日にリバーサイド小学校、11月19日にエッジヒル・シニア・コミュニティーにて演奏しました。

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オーケストラのお仕事では、11月12日にノースイースタン・ペンシルバニア・フィルハーモニーのチェロセクションで弾かせていただいたコンサートが、特に印象的でした。

ヤナーチェクの『イェヌーファ』

ヤナーチェクの『イェヌーファ』

メトロポリタン歌劇場で『トリスタンとイゾルデ』とヤナーチェクの『イェヌーファ』を観劇する機会もあり、共に感銘を受けましたが、特に後者のあまりの素晴らしさには驚愕。もっとヤナーチェクのオペラを観なければ!

『飢餓海峡』内田吐夢監督

『飢餓海峡』内田吐夢監督

MoMAで開催された内田吐夢特集にて『森と湖のまつり』、『飢餓海峡』、『限りなき前進』の3本を観ることができました。内田監督のフィルモグラフィーの全貌がつかみきれていないので、もっといろいろ観たかったのですが…。

11月8日には、歴史的な大統領選挙もありました。これからどうなるか分かりませんが、前に進むしかないですね。共に助け合って、よりよい世界を作っていきましょう!

デューラーとレンブラントの版画展 ハイド・コレクション

先週末はニューヨーク州のグレンズ・フォールズ・シンフォニーにて演奏させていただきましたが、滞在中にこの素晴らしい展覧会にめぐり合う機会に恵まれました。点と線だけの世界ですが、精密極まりない作品の数々に息を吞みました。デューラーの精緻なタッチにも感銘を受けましたが、レンブラントのうねるような線が描き出す作品が圧倒的で、とても人間技とは思えません。今回初めて存在をしったエギディウス・サドレルの作品も、だまし絵のような遊び心が感じられ、個人的にくすぐられるものがありました。

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デューラー:ネメシス(運命)

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レンブラント:十字架降下

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エギディウス・サドレル:ダイアナとアクタイオン

 

山の音(1954)

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成瀬の女性を見る目は厳しいですが、日本社会に生きる様々な女性たちに寄り添うようにして撮られた作品のように思えました。俳優たちの視線の演技、特に原節子のそれが素晴らしいです。この作品における成瀬は、最終的に俳優たちの顔に全てを賭けていることに感動しました。俳優=人間の存在をどこまで伝えることができるのか、そこに感動の本質があるのかもしれません。

本條秀慈郎三味線リサイタル”neo”  ニューヨーク天理文化センター

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先週お聴きした本條秀慈郎さんの三味線リサイタルがあまりにも素晴らしく、まだその余韻に浸っています。プログラムすべてが三味線の現代音楽でしたが、エリザベス・ブラウンのAfterimageや高橋悠治のKasukaniの静けさの際立つ作品から、藤倉大のneoのワイルドなエネルギー溢れる作品まで、バラエティー豊かな選曲で、楽器の魅力が十二分に発揮されていたのが、とても印象的でした。一柳慧の「臨海域」や鳥飼潮のTROISに至っては、本條さんの演奏が曲と一体化して、現代曲でありながら古典の風格さえ漂わせる演奏でした。